“雑誌の編集者”と聞いてどんな印象を持たれるでしょうか?
雑誌と一言で言っても沢山ありますよね。
技術系などの専門雑誌、グルメ系やレジャー系の雑誌、ファッション系雑誌など種類は様々です。
ワクワクする雑誌だったり、気持ちが穏やかになる雑誌だったりと、その雑誌の感じ方は人それぞれだと思います。
お気に入りの雑誌を読んでいると心のどこかで「こんな雑誌作ってみたいな~」と一度は思ったことがあるのではないでしょうか。
私が雑誌編集者という仕事を選ぶ動機となった思いの中にそんな気持ちもありました。
このページでは、雑誌編集者になる方法や仕事内容など、経験したことをベースにしてお伝えします。
雑誌編集者になるには
雑誌編集者になるには、資格などは必要ありません。
しかし、技術職というような印象が強いと思われる一方で、トーク力などのコミュニケーション力もかなり必要とされる職だと思います。
必要な知識や技術
雑誌編集者に必要な知識や技術は以下のような感じです。
先に書いたように資格取得の必要がないため、必ずというわけではありませんが、経験上「やはりあった方が良い」という点です。
ライティング力
書く速さ(タイピング力)が求められたり、文面が単調にならない様に言い回しを沢山知っている必要があります。
また、元の情報が少なくても、既定の文字数ギリギリまで埋める技術も必要だったりします。
スピードが求められる一方で誤字脱字は厳禁ですので、かなり神経をうに使う作業です。
撮影や加工技術
余裕のある会社であれば、専属のカメラマンを雇っているところもあります。
しかし、そうでない会社では編集者自ら撮影をしなければならない場面もあります。
プロでないにしても紙面に載せるためには最低限の撮影知識はあった方が良いと思います。
また、加工技術はあった方が良いです。
撮影が上手くいったと感じても、実際に紙面に載せるとイマイチな感じがする時もあったりします。
そんな時に加工技術があると助かったり、紙面の雰囲気に合うようにすることも可能ですので、撮影技術と同じように最低限の操作方法などは知っておいた方が助かる場合が多いです。
コミュニケーション力
編集者という肩書通り、色々な物を集めてはそれらをまとめる者のことです。
紙面を完成させるには、その材料となる物をかき集める必要があります。
それはネット情報だったり、現地で見て感じる、人に話を聞くなど、取材し材料を集めます。
また、材料を集めるだけではなく、各担当者(ライター、デザイナー、校閲など)のまとめ役となる必要もあります。
円滑に仕事を進めるためにもコミュニケーション力は必要とされます。
もし、ライティング、カメラ技術や加工技術に興味がありましたら、「Udemy」がで学ぶことができます。
校閲(赤字の見方&書き方)
校閲とはいわば、紙面全体を見て文章や画像がおかしくないかなど見ることです。
“ゲラ”と呼ばれる仮の紙面に、間違いの指摘や疑問点など赤い字で書き、編集者やデザイナーに伝える時に使うものです。
これは非常に細かく紙面における知識が必要とされるため、編集業務などある程度の経験を積んだ人が行う作業です。
校閲者が使う記号を“校正記号”と言いますが、これは校閲者だけでなく編集に関わる人がまず覚えるべきものです。
この校正記号をもとに修正作業などを行うため、編集者は正しく読み取り、または正しく書く必要があります。
こういう人には向いているかも
私が実際に編集者として働いた感じとして、編集者は“何でも屋”に近いイメージです。
これは、編集プロダクション(下請け)で働いてきたというのもあるかもしれません。
「自分はこんな紙面を作りたい!」と思っていても、最初からそうはいきません。
最初の内はクライアントの意向に沿った紙面を作るために、色んな人に依頼したり、スケジュール・タスク調整したりと、雑務的なことをこなすことが多いと思います。
そういった下積みに耐えて、ようやく1ページを任せてもらえたりする様なものだったりします。
繰り返しになりますが、最初から自分のイメージする紙面は作れません。
ただし、1ページを任せてもらえる様になるためには、何が認められるか分かりません。
だから、「この雑誌で書きたい」「作りたい・携わりたい」という気持ちを持ち、頑張れる人が雑誌編集者に向いていると思います。
そういったこだわりを持っていないと、読者に寄り添った文章や紙面を作りにくいのではないかと思うからです。
どんなことをやるのか?(経験談)
私が勤めていたのは中小の編集プロダクションで、仕事として請け負っていた雑誌の種類はグルメ・レジャー系、ゲーム・アニメ系でした。
私が担当していたのはグルメ・レジャー系の方でした。
仕事内容
実際にやっていたこととしては以下のような感じです。
- 店舗のリサーチ
- 電話で取材許可取り
- 企画内容を店舗へ送付
- リリース情報を元にライティング
- 店舗取材+ライティング
- 版元とのやり取り
- 校閲(出来上がった紙面と情報が正しいかの確認作業)
かなり大雑把な感じですが大体こんな感じでした。
以上のこと以外で少し特殊だったのがクーポン作成のために“値段交渉”なんかもやっていたりしました。
これは私以外の人がやっていたのですが、“ラフ画”と呼ばれるものでデザイナーさんへの設計図です。
「こんな感じでデザインしてもらえますか?」という設計図で、ベースがない紙面については編集者がラフ画を描いて、デザイナーが実際に作ってみる、問題なければ写真や文字を載せていくという流れで、1から紙面を作るイメージです。
1日のスケジュール
朝の9時前には就社して、残業は当たり前で夜の11時に会社を出ることが多かったです。
締め切りが近い日などは、会社で朝まで過ごすことも何度かありました。
主に以下の点を毎日繰り返す感じです。
- 店が忙しくない時間帯に取材のアポ取り&取材
- リサーチ、ライティング、入稿、原稿チェック
1冊に何百件と載せるので、締め切り前で以上のことを繰り返し行います。
待遇
当時の待遇としては以下のような感じでした。
- 試用期間は3ヶ月間(試用期間中は社会保険なし)
- 試用期間後、正社員採用
- 手取り16万5000円※残業代の支給はなし
- ボーナス年1回
- 完全週休二日制(週に休みが3日の場合は土曜日出社)
- 有給あり
雑誌編集者として働いて思ったこと
残念ながら、数年たった今でも仕事のことを思い出すと、辛い思い出が強く、正直楽しかったという思い出は少ないです。
(ちなみに辛かった点は、残業続き、周りの人と上手くいかなかったり、社風が合わなかったりなど、色々なことがあり体力的も精神的にもかなり追い詰められました)
最終的には耐えられず退職してしまったのですが、そんな環境下でも作業自体は楽しいと思えるものもいくつかはありました。
【楽しかったと思えた点】
- 取材で色んな所に行き、色んな人達と出会い、話したこと
- 真似事であったが、ラフ画を描いた時
- 値段交渉が上手く言った時
- 誰かと協力して何かを作り上げていると感じた時
残業が多くなってしまったり、紙媒体の雑誌が減ってきていたりと、業種柄に辛い面もありますが、“本を作り上げる”ことに喜びを感じるのであれば、雑誌編集者など(ライターやデザイナー)には向いているのではないかと思います。
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